減築工事とは、住宅の床面積を減らしてコンパクト化を図る建築工事のことです。
たとえば、2階建ての2階部分を撤去するなどの方法があります。
注意したいのは、間仕切り壁を取り払って部屋数を減らすだけのリフォームは減築工事には含まれないという点です。
一方、2階の床を撤去して吹き抜けにしたならば、床面積は減少するので減築工事となります。
具体的な減築工事としては、たとえば次のようなものがあります。
1階部分の建築面積を小さくすれば、それだけ庭を広くすることができます。
採光、通風、近隣住宅との距離を確保し、より快適な住環境を導きます。
階段を除去することで高齢者の家庭内事故を防ぎます。
ワンフロアーはバリアフリー化しやすいというのもメリットです。
2階建ての頑丈な基礎のまま1階だけを支えれば良い状態となるので、耐震性の大幅な向上を期待できます。
子どもが独立して2階の子ども部屋が物置になっているような場合、2階の一部を減築するケースも少なくありません。
2階の部屋の陽当り、通風などが改善され、開かずの間をなくすことで各部屋の片付けや掃除が行き届くようになり、家の長持ちにもつながります。
わざわざお金をかけて家を狭くするのは無駄のように誤解されることもあります。
しかし、減築工事には数多くのメリットがあり、リフォーム工事の中でも高い効果を期待できるものなのです。
減築工事のメリットには次のようなものがあります。
家がコンパクトになれば光熱費などもそれだけ少なくなります。
毎年の固定資産税も減築した床面積分だけ安くなるのも見逃せません。
外壁塗装、内装リフォームなど、家のメンテナンスにかかる費用も安くすることができるでしょう。
減築工事は家の重量を軽くします。重い家に必要な基礎のまま、上に乗っている部分が軽くなるわけですから、耐震性は高くなります。減築工事にあたって、設計段階から耐震性能にこだわれば、さらに耐震性を高めることもできるでしょう。
家を建て替えるにはまず古屋の解体費用の他、登記費用などの諸経費が200~300万かかります。
また、新築費用は床面積30坪として坪単価50万円ならば1,500万円はかかる計算になります。
このような建て替え新築よりも、減築工事は圧倒的にリーズナブルです。安ければ数百万ですむこともあります。
4人家族で生活していた家で2人暮らしをするとなると、どうしても使わない部屋ができてしまいます。
そういった部屋は物置になりやすく、片付けや掃除も滞りがちです。
しかし、減築工事をすれば家全体の掃除も行き届きやすくなります。
掃除の他、家事全般を行いやすいライフスタイルに合致した居住空間を作ることができるでしょう。
使用していない部屋があると、空き巣に狙われやすいといわれています。
人の気配がしない場所をなくし、家全体を明るくして戸締まりの確認をしやすくすることで、防犯性を高めることもできるでしょう。
以上のように減築工事には数多くのメリットがありますが、デメリットもあるので注意が必要です。
減築工事のデメリットは以下の通りです。
生活上の支障がない減築で、そのまま家で生活しながら工事を行うことができる場合もあります。
しかし、壁の撤去、屋根の葺き替え工事などが発生するケースでは、引っ越しや仮住まいが必要になるでしょう。
ただし、建て替えの場合は最低でも半年かかりますが、減築工事ならば2~4ヶ月と比較的短期間ですみます。
減築工事をした家に仮住まいから戻ったところ、なかなか荷物が片付かないという例も少なくありません。
しかし、逆にいえば、減築工事をきっかけに、本当に必要なものを選別し片付ける機会にできるというわけです。
子どもが独立した後の夫婦2人暮らしで、子どもや孫が帰省した際に対応できなくなるほど部屋を減らしすぎてしまう事例もあります。家族のイベントなども考慮しながら減築する範囲を決めることも大事です。
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